水月夜

やっぱり、天馬くんのいとこは『水月夜』を北以外の方角に飾っていたんだ。


そう思った直後、天馬くんが少し険しい表情をした。


「でも、なんで北に飾ると不思議な現象が起こらなくなるんだ?」


「さぁ……」


それは私にもわからない。


『水月夜』について気になっている疑問のひとつだから。


そう思いつつ、なんとなく前に視線を向けた。


それと同時に見覚えのある人物のうしろ姿が見えて、目を見開いた。


「あっ……!」


思わず声をあげてしまった。


なぜなら、そのうしろ姿は久保さんだったから。


「……梨沙、どうしたの?」