水月夜

あまりに突然の出来事に、私だけでなく、聖奈と天馬くん、さらには店内にいるお客さん全員が驚いた顔でこちらを見ていた。


ここにいる全員の視線を浴びて恥ずかしくなったのか、雨宮くんは顔を赤くしながら座った。


「……悪い。話、続けて」


雨宮くんが水をひと口飲んだのを見て、聖奈は話を続けた。


「……そ、それで、3人は『水月夜』って知ってる?」


「う、うん、知ってるよ」


「……俺も」


聖奈の質問に私、雨宮くんがうなずいた。


雨宮くんが『水月夜』を知っているのは当然だ。


昨日、『水月夜』の新たな情報を掴むために隣街まで一緒に行ったから。