☆☆☆

廊下がザワザワと騒がしくなった昼休み。


小さくため息をついて、私は廊下を歩いていた。


なぜ昼休みに私が廊下を歩いているのかというと、直美たち3人にパシリを頼まれたからだ。


『梨沙、うちらの飲むジュースを自販機で買ってくれない? お金はあとで返すからさ!』


私にパシリを頼むのが当然のように、そう言っていた直美。


私をパシリに使う直美を、ヒロエと紀子が止めるわけがなく、『いってらっしゃ〜い』と言って私の背中を押した。


ヒロエと紀子が止めないのはわかっていたけど。


ジュースを買ってと仲間に頼むなら自分でジュース買ってよ、と思うが、直美に逆らえないので素直に従うしかない。


再びため息をついたタイミングでうつむいた顔をそっとあげると、視界に自販機が映っていた。


どうやら、うつむきながら歩いているうちに自販機の前まで来ていたらしい。


目の前に自販機があったことにびっくりして肩を震わせながらも、スカートのポケットから財布を取りだし、並んである飲みものをじっと眺める。