水月夜

とくに聖奈の誘いを断る理由がなかった雨宮くんと天馬くんは、聖奈の誘いをオッケーしたのだ。


「あー……3人には聞きなじみがない話かもしれないけど……」


聖奈の言葉を聞いた瞬間、背中に冷たい汗が流れるのを感じた。


『聞きなじみがない話』


聖奈がそう言っただけなのに、なぜ私はこんなにもドキドキしているのだろう。


カラカラになっている喉を水でうるおし、聖奈の次の言葉を待つ。


私と天馬くんの視線を受け止めた聖奈が小声でつぶやいた。


「3人はさ、『水月夜』って知ってる?」


ガタンッ‼︎


声が聞こえたと同時に雨宮くんが、勢いよく立ちあがった。