今、私たちがいるのは、教室がある階の廊下。


他の生徒に見られる可能性があるのに、なんで私を抱きしめたんだろう。


「あ、雨宮くん……」


「嬉しいこと言うなよ。ますます好きになっちゃうじゃねぇかよ……」


「……っ!」


雨宮くんの『好き』という言葉に、さらに顔が真っ赤になる。


今はもう秋なのに、夏に逆戻りしたみたいに体が熱くなっている。


「そ、そんなこと、私に直接言わないでよ。恥ずかしいじゃん……」


「俺に『好き』って言わせたお前が悪い」


「なっ……!」


言葉の球をすぐに打ち返され、言い返すことができなくなった。