水月夜

ペコッと頭をさげ、丁寧に謝る。


また緒方先輩に乱暴なことをされちゃうかもしれない。


だけど、緒方先輩に怯える気持ちより、雨宮くんを好きな気持ちのほうが強いのだ。


私が謝ってしばらくたってもなんの返事もないので、おそるおそる頭をあげる。


そのときに視界に入った緒方先輩は、呆然とした顔をしていた。


「嘘……柏木ちゃんが雨宮くんと……?」


緒方先輩が呆然としているのをいいことに、雨宮くんが突然うしろから私を抱きしめた。


「そう。俺とこいつは付き合ってるんです。わかったら早く出ていってもらえます?」


「く……っ」