水月夜

たとえ誰かにどんなことを言われようとも、雨宮くんへの気持ちは変わらないんだ。


ベッドから降り、ゆっくりとした歩調で雨宮くんと緒方先輩の前まで歩み寄る。


私がすぐそばにいることに、ふたりは気づいていない。


そんなふたりに向かって、私は叫んだ。


「いいかげんにしてーっ‼︎」


保健室全体に響き渡る私の声に、雨宮くんは緒方先輩の胸ぐらから手を離し、緒方先輩はびっくりした顔でこちらを見た。


ふたりが視線を向けてくることなどおかまいなしに、私は緒方先輩の前に立った。


「……先輩。私、雨宮くんと付き合ってるので、先輩とお付き合いはできません」