水月夜

誰か助けて……!


じわっと目に涙を浮かべたそのとき、保健室のドアが勢いよく開かれた。


その音で、緒方先輩がボタンをはずす手を止め、音がしたほうに視線を向けた。


「な、なんでお前が……!」


緒方先輩が驚くのも無理はない。


だって、保健室のドアを開けたのは、休みだったはずの雨宮くんだったから……。


「雨宮くん……!」


「緒方……梨沙から今すぐ離れろ」


険しい表情で緒方先輩を睨む雨宮くん。


よかった……。


雨宮くんが来てくれてよかった……。


嬉しさのあまり再び涙が出そうになる私を尻目に、雨宮くんが緒方先輩につかみかかった。