水月夜

キュッと下唇を噛みしめ、緒方先輩の次の言葉を待つしかない。


と、そのとき、緒方先輩が口角を三日月のように上げ、不気味な笑顔を顔に貼りつけながら、こう言った。


「そうだ。告白しても付き合えないなら、力づくで俺のものにすればいいんだ」


力づくで⁉︎


それって、もしかして……。


心の中で言葉を出そうとした直後、緒方先輩の手が私の制服のボタンに伸びた。


そして、パチンッというはじけた音が響く。


ボタンがはずされたのだとすぐに理解した。


「や、やだ……っ」


どうしちゃったの、緒方先輩。


私の知ってる先輩はこんな乱暴な人じゃなかったのに……!