水月夜

いくら顔を合わせづらいとはいえ、雨宮くんが好きであることに変わりはない。


どれだけケンカしても、たぶん好きな気持ちは動かない。


だから、緒方先輩とは付き合えない。


「本当にごめんなさい……」


そう言ったタイミングで、目からポロッと涙がこぼれた。


涙は私の頬をつたって、真っ白な布団を濡らす。


アイラインやファンデーションが落ちてしまいそうになって、手の甲でぬぐった直後。


緒方先輩が私の手を乱暴に離し、突然私の上にまたがった。


突然のことで涙を止めてまばたきをする私をスルーして、先輩は叫ぶ。


「なんでだ! 俺はずっと柏木ちゃんが好きだったのに! なにがいけないんだ‼︎」