水月夜

受け入れるとは言っても、まだ信じられない。


いまだにまばたきを繰り返す私を見て、緒方先輩は優しく私の頭を撫でる。


その姿はまるで、我が子を見守る母親のようだ。


「柏木ちゃん……俺は、柏木ちゃんが好きだ。だから、俺と付き合ってほしい」


優しく頭を撫でながら告白する緒方先輩。


もし私に彼氏がいなかったら、素直に喜び、緒方先輩の彼女になるだろう。


でも、そういうわけにはいかない。


私には、雨宮くんという存在がいるから。


「……緒方先輩の気持ちは嬉しいです。好きって言ってくれて、ありがとうございます。でも……付き合えません。ごめんなさい」