水月夜


☆☆☆

「はぁ……」


「元気ないじゃん、梨沙。どうしたの?」


昼休み、食堂にて。


からあげ定食を食べる手を止めてため息をつく私に、向かい側の席に座っている聖奈が心配そうな顔をした。


はぁ。昼休みになっても、雨宮くんの姿が頭から離れない。


今朝、担任の先生がホームルームで雨宮くんが休みだと言っていたけど、心が落ち着かない。


「朝からどうしたの? 顔色悪いし、ため息ついてるし」


「今日は運の悪い日かも……」


ポツリとひとりごとのようにつぶやく。


今日が運が悪い日だと思ったことはないのに、なんで嘘ついたんだろう、私。