水月夜

そんなことを思っていると、朝のホームルームのはじまりを知らせるチャイムが鳴った。


「梨沙、早く教室に入ろう」


「う、うん」


聖奈と天馬くんに手を引っ張られながら、教室に入る。


雨宮くんがいるかどうかと気にしている場合じゃない。


早足で自分の席に座り、カバンを机のフックにかける。


聖奈と天馬くんがそれぞれ自分の席に座ったところで、担任の先生が教室にやってきた。


「おはよう」


先生の挨拶に、大半のクラスメイトが挨拶する。


だが、私はできなかった。


だって、いまだに頭の中で雨宮くんのことを考えていたから……。