驚いた声がしたほうにおそるおそる目を向ける。


「……あれ、天馬くん?」


「ん? 柏木と矢畑?」


私の声に、ドアを開けた生徒がまばたきをする。


ドアを開けたのは天馬くんだった。


なぜか、天馬くんと一緒にいるはずの雨宮くんの姿が見あたらない。


「お前ら、そんなとこにつっ立って、なにやってんの?」


なにも知らない天馬くんは、私と聖奈が教室に入らないことに疑問を抱いているようだ。


天馬くんには、昨日なにがあったか言わないほうがいいよね。


雨宮くんの友達だから、雨宮くんのことを話したら、友達を侮辱するなと言われそうだ。