深いため息を再びついていると、うしろから肩をポンッと軽く叩かれた。


うしろを見て、雨宮くんではないことに胸を撫でおろす。


「……緒方先輩ですか。おはようございます」


「おはよう、柏木ちゃん」


私の肩を叩いたのは緒方先輩だった。


緒方先輩だとわかって安心しているが、うまく笑うことができない。


きっと、心のどこかで雨宮くんのことを意識しているからだろう。


うまく笑えない私を見て、緒方先輩が不思議そうな顔をする。


「柏木ちゃん? どうしたの?」


「じつは私、いまだに友達が死んだことを受け入れられなくて……」