水月夜


☆☆☆

それから数十分、込山に住んでいる人たちに『水月夜』について聞きまわったが、新たな情報を手に入れることはできなかった。


地元の人たちは、『水月夜』の名前を聞いただけですぐに『呪われた絵だ!』と叫んでいた。


歩きながらバッグを肩にかけ深いため息をついていると、隣を歩いている雨宮くんが口を開いた。


「……結局、収穫はなにもなかったな」


「うん……」


ここに来れば、『水月夜』の新しい情報が手に入ると思っていたのに。


「ここに都市伝説ってないのかな……」


うしろを歩いている久保さんに聞こえるような声でつぶやいた。