水月夜

久保さんは、雨宮くんを彼氏に持つ私に手を出すつもりはないようだ。


そのことにほっと胸を撫でおろす。


ひと安心したのは私だけでなく、雨宮くんもだった。


「……そうか。手を出さないならいい」


言葉は冷静だけど、どこか安堵の色が混ざっているように感じた。


雨宮くんと久保さんがケンカをしないとわかったと同時に、私は雨宮くんの肩を叩いた。


「ねぇ、雨宮くん」


「……ん、なんだ?」


「込山に着いたはいいけど、いったいどこに行けば、『水月夜』についての新しい情報が掴めるのかな?」


「……とりあえず、地元の人に聞き込みするしかねぇな」