水月夜


☆☆☆

駅を出てから15分後。


私はひとり、どこかもわからない道をとぼとぼ歩いていた。


隣街の込山に着いたのはいいが、いったいどこに行けば『水月夜』の新たな情報を掴めるかがわからない。


はぁ。こんなことになるなら、逃げずに雨宮くんと一緒に電車を降りればよかったな。


それに、久保さんともはぐれちゃったし。


深いため息をひとつした直後、誰かに肩を掴まれる感覚に襲われた。


びくっと体を震わせたが、うしろを向いて、肩を掴んだのが誰かわかったと同時にほっと安堵の息を漏らした。


「あ、雨宮くん……」