水月夜

気まずそうに目をそらして、今の自分の表情を読み取られないようにうつむいた。


と、そのとき。


電車がホームに滑り込み、目の前で止まった。


電車のドアが開いてすぐに雨宮くんが乗り込み、私もあとを追うように電車の中に入る。


空いている席に座り込んだところで、雨宮くんが不機嫌な表情のまま隣にやってきた。


「……隣、座っていいか?」


「う、うん……」


若干震えた自分の声に気づかないフリをする。


「……ありがと」


聞き取れないくらい小さな声を口にして、雨宮くんは私の隣に腰かけた。


ドカッという擬音がつくほど勢いよく座る雨宮くんにびっくりする。