お母さんのほうに目を向けることなく、淡々とそう言った。


すると、眠そうな目をしていたお母さんが突然目を見開いた。


「えぇっ⁉︎ どうして⁉︎」


「久保さんからもらった『水月夜』が怪しいから、『水月夜』を調べにいくの」


「ま、まさか、恭平くんのこと疑ってるの⁉︎」


「そういうわけじゃないよ。ただ『水月夜』の真実が知りたいだけ」


表情を変えずに言葉を返す私に、お母さんが目をしばたたかせる。


「じゃあ、行ってくるね。始発の電車に乗り遅れるかもしれないから」


呆然とするお母さんをスルーして部屋を出ていこうとしたが、お母さんに引き止められた。