なに?


私、ここにいるクラスメイトたちになにかした?


頭上にクエスチョンマークを浮かべていると、ポンッと頭を軽く叩かれる感触に襲われた。


クラスメイトたちの視線が気になりながらも、感触がしたほうに目を向ける。


そこにいたのは雨宮 颯(あまみや はやて)だった。


「おはよ、柏木(かしわぎ)」


「……おはよう、雨宮くん」


ひかえめに挨拶するが、雨宮くんに話しかけられたというだけでドキドキして、雨宮くんの顔を直視できなかった。


彼は色白で軟弱な感じがするが、スタイルが抜群によくてカッコいい。


しかも勉強もできて運動もできるから、校内女子の注目を集めている。


遠い存在のように思える雨宮くんだけど、登校時にはいつも笑顔で挨拶してくれる。


私にとって雨宮くんは届かない存在だったのに、毎日挨拶してくれるとは思わなかった。


顔をあげられない私に、雨宮くんが顔を覗かせる。


「あれ? 柏木、どうした? もしかして体調が悪いのか?」