水月夜

「うん」


あっさりとうなずく雨宮くん。


いったい『水月夜』のなにを知っているのだろうか。


頭上にクエスチョンマークを浮かべる私をチラッと見た直後、雨宮くんがさらに言葉を続けた。


「じつはその『水月夜』っていう絵、もともと隣街出身の画家の作品らしいんだ」


「隣街出身の画家?」


「あぁ。俺、柏木の家で『水月夜』を見たあと、その絵をネットで調べてみたんだ。そしたら隣街出身の画家が描いたものだって」


「そうなんだ……」


真剣な眼差しを向ける雨宮くんを見ると、どうやらその情報は本物らしい。