水月夜

私の体は雨宮くんに引っ張られるがままになる。


恐怖の表情を顔に貼りつけたまま雨宮くんに引っ張られる私を、聖奈と天馬くんはあ然とした顔で見つめていた。


そして、男女兼用トイレに入ったと同時に雨宮くんがパッと手を離した。


そのタイミングで我に返って、雨宮くんのほうに顔を向けた。


「ど、どうしたの雨宮くん。こんなところまで来て……」


「あの絵についての情報を知りたくないか?」


いきなりなにを言いだすのかと思えば、そんなことか。


「えっ……“あの絵”って、『水月夜』?」