ニコニコと笑顔を浮かべながらそう言うお母さんだけど、本当は驚いているんじゃないかと思う。


表情に気持ちを出さなくても声でわかるよ。


お母さんの声が驚きに包まれていることに気づかないフリをして、お母さんの真正面に座る。


目の前には、幼少時から大好きだったイチゴチョコが乗ったトースト。


登校ギリギリになってから目を覚ますことが多かったから、朝ご飯を食べる機会がなかなかなかったんだよね。


大好きなイチゴチョコトーストを見てニヤニヤしていたせいか、お母さんが笑顔をキープしたまま頬杖をついた。


「梨沙は小さいときからイチゴチョコトーストが大好きだったもんね。大好きなものを目にしてそういう表情するのは相変わらずね」


あれ?


私、わかりやすいくらいにニヤニヤしてた?


お母さんにニヤついていたところを見られて恥ずかしくなり、慌ててトーストをかじった。


口いっぱいに甘酸っぱい香りが広がり、またニヤついてしまいそうになる。


口角を上げてニヤニヤしたら、またお母さんに『ニヤついてるよ』と指摘されるところだった。