その様子を見たらしい聖奈が、誰にも聞こえない程度の声で私に話しかけた。


「この葬式が終わったらどこか寄ってく? 正直、真っすぐ家に帰る気分じゃないでしょ」


私が涙を流した姿を見て、聖奈は私を慰めようと気を遣っているのだろう。


聖奈は優しい。


人生で一番の喪失感を感じた私を心配するなんて。


聖奈だって悲しむことあるかもしれないのに。


さらに涙が出てくるのを感じながら、こくんとうなずいた。


「ありがとう、聖奈。葬式が終わったら一緒にどこか寄っていこう」


そう言うと、聖奈は小さく微笑んだ。