私が耳にする噂は、たいてい嘘が多い。


信じないよ、私は。


悪い出来事が起きるかもしれないという噂ならなおさら。


ふっと小さく笑い、絵を手に取った。


「ありがとうございます、久保さん。買ってくれたお土産、ありがたく頂戴しますね」


私の表情がガラリと変わったためか、私の態度の変わりように、久保さんとお母さんが驚きの表情を見せている。


ふたりの表情に気づかないフリをして、お母さんに体を向けた。


「お母さん。久保さんからもらったこの絵、部屋に飾ってもいい?」


「え……えぇ、いいわよ」


目をしばたたかせながらも、なんとか言葉を返すお母さん。


久保さんはただただ私とお母さんの会話を呆然とした顔で見つめているだけ。


止めないなら、もらっていいよね。


災いをもたらすなんて噂は信じないけど、もらったものをむげにするわけにはいかないし、もらったからには大切にするしかない。


上機嫌を装って自室へと向かい、部屋の中に入って表情を戻した。