自分の席に座って体を小刻みに震わせる私に、ついてきたらしい雨宮くんと聖奈が話しかける。


「どうしたんだよ。朝から震えるなんて柏木らしくないじゃん」


「そうだよ。なにかあったの?」


体を震わせる私の姿を不思議に思ったふたりの言葉が通り抜けていくくらい、私は意識をヒロエと紀子に向けていた。


お願いします、神様。


どうかここにヒロエと紀子が来ませんように。


膝の上で握り拳を作って心の中で祈ったそのとき、ヒロエと紀子がこちらにやってきた。


必死に祈っていた私の願いはふたりに届かなかったらしい。


「ねぇ、梨沙。学校に来たばかりで申しわけないけど、私たちについてきてくれない?」


満面の笑みを浮かべて私の顔を覗くヒロエ。


そのうしろでは紀子があたりを見まわしている。


ふたりが話しかけてきたことによって雨宮くんは私から離れ、聖奈は私に小さく手を振った。


たぶん『いってらっしゃい』ということだろう。


怖いけど、ヒロエと紀子についていくしかない。