カバンを取りにリビングに入ったときにお母さんにニヤニヤした顔で見られたけど、急いでいたせいもあってスルーした。


再びカバンを肩にかけてローファーに足を入れて、お母さんに向かって「いってきます!」と叫んだ。


壁ひとつ隔てた向こうからお母さんの声が聞こえたのを確認して、雨宮くんと一緒に家を出た。


家を出てからは時間を忘れて雨宮くんと歩きながら会話した。


どんな会話をしたのか覚えていないくらい、雨宮くんと話す時間は楽しかった。


しばらく歩いていくうちに学校が見えてきて、学校が見えた数十秒後には学校に到着した。


靴をはきかえて教室に向かうが、足が震えてうまく歩けない。


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫だよ!」


そう返事をしながらも、雨宮くんの手を借りてなんとか歩みを進めた。


教室にたどり着いてドアを開けたと同時に、教室内にいたクラスメイト全員がこちらを見た。


私と雨宮くん、なにかしたのかな。


目をしばたたかせながらクラスメイトたちを見ると、ひとりの女子が私のほうに駆け寄ってきた。