「えっ、ついに梨沙に彼氏ができたの⁉︎ お母さん、嬉しくて泣いてしまいそう〜」


そう言いながらも、ちっとも泣く素振りを見せないお母さん。


そんなこと言うなら少しは泣くフリをしてもいいのに。


心の中でお母さんにツッコミを入れている間にトーストを食べ終え、皿をシンクに持っていくために立ちあがった。


数歩歩いてキッチンへと足を踏み入れた直後、うしろからインターホンが鳴った。


誰だろうと首をかしげながら皿を近くのテーブルに置き、玄関に歩み寄る。


ガチャッとドアを開けると、そこにいたのはなんと雨宮くんだった。


「雨宮くん……⁉︎」


「おはよ、柏木」


さわやかな笑顔で片手を軽くあげて挨拶する雨宮くん。


いまだに信じられない。


私がこんなにカッコいい雨宮くんの彼女なんて。


「学校、一緒に行こうか」


「えっ!」


「あれ、嫌だったか?」


「嫌じゃないよ! カバン持ってくるね!」


リビングからカバンを持ってきて、急いで雨宮くんのところに戻る。