だけど、私の心の中を少しでもスッキリさせるためには、誰かに相談するしかない。


悪口を聞いた直後に雨宮くんに慰めてもらったけど、まだ心の傷は癒えていない。


せっかく千尋が話しかけてくれたんだから、千尋に相談してみようか。


「……千尋」


「うん? どうした、梨沙」


「私、昨日……直美が隣の空き教室でクラス全員の悪口を言ってたんだよね……」


おそるおそるといった様子で話した私に、千尋が口を大きく開けた。


同時に目をパチパチとしばたたかせている。


私の言葉に驚いているのは間違いない。


私が視線を向けたことに気づいたのか、千尋が口をキュッと閉じて小声で話しかけてきた。


「えっ……大坪さんがクラス全員の悪口を?」


「うん。クラスのみんなは言いたいことをちゃんと言おうとしないし、避けようとするって。豊洲さんの悪口も言ってたよ。自業自得だって」


「嘘、マジで……?」


今教室にいるクラスメイトたちに聞こえないように気をつけて小声で話す。


はっきりとうなずいて直美が昨日言ったことを千尋にぶつけると、千尋は顔を青ざめた。