やばい、頬が熱くなっているかも。


自分の頬の温度が徐々に上がってる気がして、めまいを起こしそうになる。


赤くなっているであろう顔を雨宮くんの視界から見えないように下に向けてボソボソとつぶやく。


「わ、忘れものを探したくらいでそんな笑顔を向けなくても……」


この声が雨宮くんに聞こえてるかどうかはわからない。


ていうか、知らなくてもいい。


うつむきながら心の中でぶつぶつとつぶやいたそのとき。


突然廊下のほうから大きな笑い声が聞こえてきて、私と雨宮くんの視線はそちらへと向けられた。


頬の温度が少しずつ低くなっていくのを感じてそっと廊下のほうに顔を覗かせると、そこにいたのはスマホを耳に当てている直美だった。


直美、どうして廊下にいるの⁉︎


たしか緒方先輩を見にグラウンドに行ってたはずじゃないの?


頭の中が疑問で埋めつくされていく。


だが、疑問に支配された私に気づくことなく直美がこちらに向かって歩いてくる。


ねぇ直美、気づいて。