2階と3階をつなぐ階段の踊り場まで来たとき、無理やり足を止めて腕を軽く振りほどいた。


今まで私の腕を引っ張っていた千尋が驚いた顔をこちらに向ける。


「なんでクラス代表で豊洲さんの葬儀に参列したいって言ったの?」


自分たち以外の誰にも聞こえないように小さくつぶやいたつもりだったのに、私の声はなぜか踊り場に大きく響いた。


そのことに内心驚くが、表情に出さないように必死にキープした。


口をギュッとつぐんで千尋の言葉を待つ。


私が言葉をぶつけた十数秒後、千尋が気まずそうにそっと目をそらした。


「……今朝、見ちゃったの」


「へっ?」


いきなり、なに?


答えになっていない言葉に頭が混乱する。


混乱のあまりマヌケな反応をする私を完全にスルーして、千尋が話を続ける。


「梨沙の家に同じ絵があるって知って以降も奇妙な出来事が続いてさ、しかも毎日。今日はさすがに奇妙な出来事がやむかなと思ったら、また絵が変わってたの」


嘘、毎日も同じ出来事が千尋の部屋で起こったなんて。