「~~。そういえば~」
「え~。森谷くんでしょ?~~」
「だよね~。~~」
廊下の方から女性たちが近づいてくるのか会話が聞こえていたが、今の私の耳には入ってこなかった。
私には、この場をどう切り抜けるかの方が重要だ。
一歩ずつ、一歩ずつ私の方に近づいてくる。
「っ…い、や!…来ないで!」
私のすぐ目の前に立ち、私と目を合わせた。
彼の瞳の中には、いつかの連夜と同じように熱がこもっていて怖い。
「…だって鈴音ちゃんを当てにしてたら何年経つか分からないからな。」
ギュッと固く目を閉じ下を向いた。
「…気に入らねぇ」
そう聞こえたかと思ったら腕を掴まれ引っ張られる。



