「連夜、おまたせ」
玄関で下駄を履き、浴衣を着ている連夜がいた。
私の思った通りグレーの浴衣がとても似合っている。
「鈴音!
…すごく似合っている。綺麗だよ」
「…」
「あ、照れてる」
素直な物言いに照れる以外の反応ができない。
連夜の表情からも本心でそう思ってくれていることが伝わってきて恥ずかしさがこみ上げる。
「だ、だって…連夜が本当にそう思ってくれてるのがわかるんだもん」
「当たり前でしょ。
俺だけの鈴音だもん。…可愛くてしょうがない」
そう言って私の手を取って歩き出した。
「今日は、甘やかすから。
鈴音は何も考えずに楽しんでね」
連夜が隣にいることに安心する。
「ありがとう」



