「りーん。
こんなに広いんだから、そんな端に行かないでよ。」
連夜にそんなことを言われても無理なものは無理だ。
ここの旅館の露天風呂はタオルを巻いて入浴が許可されていることがまだ救いだ。
今、私の顔は真っ赤な自信がある。
恥ずかしさもそうだが、それによってのぼせかけてもいる。
「鈴音、熱いんでしょ?
心配するから無理しないでよ」
そう言って私をお湯から上げて、石に座らせた。
足だけお湯につかっている状態だ。
自然に向き合う形となる。
…なんでそうしたのか自分でもわからない。
気付いたら連夜に…キスしていた。
言い訳をするなら…じっと目を見つめていて…ん~、何て言えばいいのかな。
…好きが溢れた?
愛しい…というか、まぁそんな感じ。
私は目を閉じたけど、そんなことをされると思ってもいなかっただろう連夜。
ゆっくりと目を開けてみると驚いて固まっている連夜がいて、なんだか笑ってしまった。
あ~、好きだなって思った。
そんなことを考えているうちに連夜の顔がみるみるうちに真っ赤になった。
まるでトマトのように。
相変わらず不意打ちに弱いようだ。
そうなった連夜の近くにいると、いつもきまって…。
逃げるなら今のうちだ。
すぐに脱衣場に走り込んだ。
「ちょっ…っ、鈴音!」



