「…急いでいるので…」 後ろを振り向いて紗奈に”逃げて”と伝える。 「え…?」 紗奈の戸惑いが見える。 ”大丈夫だから”と伝えて背中を押した。 「失礼します」 きっと簡単には離してくれないだろうと考え、目の前の男の人を思いっきり押して、紗奈を追い走り出した。 「うわっ」 男の人の声が聞こえてきたが、私が思いっきり押してもそんなにダメージにはなっていないだろう。 追いつかれないように走るしかない。 「おいっ」 「追いかけろ」 なんて声が聞こえてきた。