「はい。綺麗な花がいっぱいあるから、見てくるといいよ」
「うん、ありがとう!いってくるね」
「いってらっしゃい」
ピッとスケッチブックから切り離してくれた地図を受け取って、手ぶらで外に出る。
……なんか、今の。
一緒に住んでるみたいだったな……。
『おじゃまします』と『またね』はよく言うけれど、『いってきます』も『いってらっしゃい』も初めてだよ。
たまに、コンビニに行ったセイジを待った後は『おかえり』を言うけれど。
私が戻るってシチュエーションは初めてだから、『ただいま』は言ったことがない。
……ちょっとだけ、ドキドキする。
……って!私、何考えてるんだろう!
なんか恥ずかしくなってきた!
「え、えっと!店は……!」
無理やり思考を振り払って、改めてセイジが描いてくれた地図を見る。
あ。こないだ行った化粧品店が目印になってる。
そこからちょっと行った先の『フラワーフロア』ってお店みたい。
これなら大丈夫。よく道に迷う私でも流石に覚えてるよ。
セイジの心遣いに感謝しつつ、まずは大通りに出る。
この通りもすっかり見慣れたなぁ。
ついこないだまでは来たこともない街だったのに。


