コンコン





約束の日曜日。


少しだけドキドキしながら、温室の扉を叩く。




真横に家があるけど、多分こっちにいるんだろうなって思ったから。


ちょっと間が空いて、扉が開かれた。



「エリカ」


「おはよう、セイジ」


「…ん、おはよう。
ノックしなくても、入ってきてくれて良いのに」


「えっ、鍵かけてないの?」


「ないよ」


「危ないよ…」


「出かける時はかけるから、大丈夫」



それ、大丈夫なのかなぁ…。


強盗とか、鉢合わせる方が危険じゃない…?



さっさと奥に入っていってしまったセイジを追いかけて、温室を通り抜ける。



一週間ぶりのアトリエは前に来た時と全然変わらず、相変わらず光が差してキラキラしている。


1つだけ違うのは、私が使うイーゼルと椅子がそのまま出してあること。


画材は前来た時よりも多くなっている。



「そうだ。今日は飲み物を色々持ってきてみたんだけど」


「飲み物?」


「うん。水ばっかり飲むって聞いたから。
何か気に入るのがあれば良いんだけど」



そう言って差し出した袋を受け取ってすぐ、セイジは中を覗き始める。



「…お茶にスポーツ飲料に、ミルクティーに紅茶にオレンジジュースに…買いすぎじゃない?」


「あはは…好きなもの詰め込んでたら、つい。
重くて持ってくるのが大変だったよ」



笑いながら、持っていた左手を見せる。


すぐ治るだろうけど、ちょっとだけ赤くなっている。