君と描く花言葉。





……来た。




真っ暗な視界で、何かが動き始める。



それは黒っぽい何か。


でも、真っ黒じゃない。




あれは…緑?


緑ベースの青だ。



濃くて、黒に近いような緑と青。




禍々しく渦巻いていて、しかし、花の中心はどこか明るい。


神秘的でドス黒い、トゲトゲしく涙を流す花。



矛盾だらけでおかしな表現だけど、不思議と、それが正解なんだって直感で感じる。


私の世界の、私だけの正解。









ゆっくりと目を開く。



今までになく、無性にわくわくした。


あんなに描きたかった青紫のニゲラが、今はどうでもよくなっている。


違う。私のニゲラは、中学の頃にみたあれじゃない。


今見えたあれこそが、私のニゲラだ。



パレットに出そうとしていた紫を横に避けて、新しく緑と黒を出す。


緑と黒を、黒を多めに混ぜ合わせて、青を足す。


パレットの上に、青から黒を通って緑までのグラデーションが出来上がった。



それから、もう完成間近になっていた絵の上から緑を塗りたくる。


あの絵は、青紫の花びらに、アクセントの赤や緑、それから茎と葉の緑が映えて綺麗だった。


対して、私のは黒っぽい緑がベースで青も混じった花びらに、また緑の茎と葉。



どうやって描き分ければいいのかなんて、さっぱりわからない。



けど、そうするべきだと思った。



描き終わっている茎と葉はそのままに、花びらだけを塗り替えていく。



新しく追加されたドス黒い色が、やけに綺麗に見えた。



段々と自分の絵が自分の色に染まっていく様子が面白くてたまらなくて、私はそれから部活が終わるまで、一言も喋らず夢中になって筆を動かし続けた。