「エリカね!高校は緑原?何年?」


「そうです。セイジとおんなじ、2年生で」


「えー!同い年じゃん!
ねね、セイジのどこがいーの!?
こんな引きこもり絵画バカ、めんどくない!?」


「え、えっと」



その前に、彼女じゃないんです。


そうは思っても、セイジの彼女だと思われてることが存外嬉しくて、すぐに否定できない。



「はいはい、そこまで。
一体何しにきたの」


「え〜?ちょっと暇んなったから遊びに来ただけだけど〜?
あっでも彼女来てるなら邪魔だよね!?
おっけー帰る帰る、けどその前にさ、もしかしてエリカも絵描ける人?」


「あ、はい……一応」


「やっぱり〜!この絵、すごいセイジっぽいけど、描いたの多分エリカでしょ?
セイジの絵より人間味あってすごいいーなって思ったんだ!
そんだけ!お邪魔虫退散!じゃね〜!」



亜希奈さんは私に向かってそう言い残すと、大きく手を振って温室を出ていった。


バタバタバタンと、入口が慌ただしく閉まる音がする。


騒がしかった空間が、シンと静まり返った。