「おっはよーっ!」


「おはよー、高ちゃん。随分ご機嫌だね〜」


「わかる〜?」



朝一でハイテンションの挨拶を食らった私は、若干話の内容を察しながら笑う。


だって高ちゃんがこんなに上機嫌になるのは、大抵恋愛話しかないもの。



「さては彼氏できたでしょ?」


「当たり!さっすが!」



やっぱりね。



高ちゃんが例のサッカー部の彼氏さんと別れたのは、3週間くらい前のこと。


なんでも食べ物の好みが大外れだったみたいで、それが原因で喧嘩をしたらしい。



別れた当初はもう、テンション沈みまくりでこの世の終わりみたいな顔をしてたものだけど。


3日くらいでケロッと立ち直り、『いい人見つけたかも!』なんてどこからか新しい人の写真を入手してきていた。



「こないだ言ってた人?テニス部の」


「そうそう!もう食べ物の好みドンピシャでさー!
外食がこれまた楽しいわけよ」


「あー。それは太るやつだね」


「ゲッ…!エリカさん、現実見せてくるのやめてくれませんかね」


「やだなー。太っていく高ちゃん見るの。心苦しい」


「止めて!食べ物に伸びるあたしの手を止めてー!!」



ぎゃー!なんて叫びながら頭を抱える高ちゃんを前に、笑いながら席に着く。


高ちゃんもそれに倣って前の席に座って、にひっと笑いながら振り向いてきた。


そして、バッ!と大袈裟にカバンから何かを取り出す。