「───セリナ…っ!」





全身が大きく跳ねながら地面に叩きつけられ



身体中に鈍い痛みが走る。



しばらくしてトラックのエンジン音が消え、自分が歩道にはじき出されたことを知った。
































ひき逃げだ。







「私、」























本当、なにしてんだろ、私。













………死ぬとこだった。



危うく



命を落としてしまうところだったことに気がつく。



そして、同時にもうひとつ。



なぜか私は生きていて。



その理由に、程なくして気がついた。





───誰かに助けられた。





でも



誰に?















慌ててあたりを見回せば、割と距離なくして近くに倒れている人影を見つける。





「───待っ、大丈夫!?」





自分の人生史上最大と言っても過言ではないボリュームで叫び、駆け寄ると



私を助けてくれたらしその人影は
暗闇の中でゆっくりと立ち上がった。





「良かった、生きてた…」



「…」



「あの怪我、してないですか…?」





起き上がったはいい。



…けれど、歩くのも辛そうで。



彼が起き上がりやすいように。
ごく自然に、ごく当たり前に、私は右手を差し出した。

























はずなのに。



何故か逆にその手を力強く捕まれ、引き寄せられる。



なんとも自然に
私は彼の胸の中に収まる形になった。




















───捕まった。



直感が働いた。



瞬間的にそう感じた。