「まずは被害者の意見を聞こう」


今井がそう言って、いじめの被害者という和久井進を促す。


嬉々とした表情で立ち上がると、まだ意識が戻らない3人を真っ直ぐ指差した。


「僕はこの3人にいじめられていました」


「まずは、村瀬からいこう」


「はい。僕は村瀬敦也から、いじめられていました!」


「詳しく説明しなさい」


「はい‼︎」


いつもジャクソンたちに虐げられ、ねじ伏せられていた和久井進の顔が、輝いている。


これは、初めから打ち合わせしていたのか?


それなら和久井は、最初から知っていたことになる。


今井が俺たち生徒を、殺そうとしていることを。


だが、その気持ちは分からないでもない。


和久井にとって、学校は地獄だ。いじめの張本人も、それを見ていて助けない俺たちも、死のうが助かろうがどうでもいいのだろう。


村瀬にどんなひどいことをされたのか、声高に訴える___その時、当の村瀬が目を覚ました。


「んっ、んん‼︎」


猿轡をされているため、声が出ない。


「今ちょうど、お前の罪を裁判で決めるところだ。よく聞くといい」


「んー‼︎」


声にならない声を叫ぶ、村瀬。


それに反応してか、あとの2人も目を覚ました。


世良幹夫は力の限りに暴れ出し、ジャクソンは__周りを見回して、ただ一点、今井を睨みつける。


裁判が本格的に始まった。