「それで、どうやる?」


教室に戻ると、ジャクソンと向かい合った。


「どうもこうもない。ぶっ殺すだけだ」


「用心したほうがいい」


「チキンは引っ込んでろよ」


バカにしたように、俺の胸を軽く突く。


その目はまだ血走っており、とても冷静に話し合いができる感じではない。


弱腰なわけじゃない。


俺だって、今井のことをめちゃくちゃにしてやりたい。


でも__用心に越したことはない。


恐らく、俺たちがやり返すことも想定しているはずだ。


名前を呼ばれて返事をしなければ、死ぬ。


どういう仕組みかは分からないが、やはり今井の口を封じてしまえば、名前さえ呼ばれなければいい。


俺たちがそれに気づき、行動に移すことは当然、あいつも分かっているはず。


「教室に入ってきたところに一発お見舞いしてやるよ」


ジャクソンが拳を握り締める。


「いや、不意打ちのほうがいい」


「それが不意打ちだろうが!」


「入ってくる時、用心しているはずだ。あいつはそこまでバカじゃない」


「俺がバカだって言うのかよ!」


ジャクソンに襟首を掴まれて締め上げられる。


とんでもない力だ。


この力があれば、今井なんて一発で仕留められるだろう。


もうすぐ、チャイムが鳴る。


休み時間が終わってしまう。


それなのに俺たちは仲間割れをして、睨み合ったままだった。