「日直は誰だ?」


生徒たちに問いかけるが、誰も答えない。


僕が口を開くだけで、怖がっているように見える。


仕方なく黒板に書かれている、日直の名前を__。


「片桐剣」


名前を呼んだが、返事はない。


それもそのはず、片桐剣は教室の中央でのたれ死んでいる。


もう1人は、森本亜希子だ。


クラス委員の森本も、逃げ出したクラスメイトを追いかけたままだ。


「森本は、俺の代わりに」


そう呟いたのは、楠木雷人だ。


きっと、森本の死体を見たのだろう。


そんなことはどうだっていい。今、大事なことは、死体が転がっていては授業が始められないということ。


「諸岡つとむ」


僕は目の前にいた生徒の名を呼んだ。


諸岡はそれだけのことで、卒倒しそうになっているが「はい」と素直に返事をする。


全員が、僕を見ている。


名前を呼ばれるんじゃないかという、恐怖心。


そんな中、真っ先に目をそらした生徒がいた。


「和田カレン」


「は、はい‼︎」


叫び声のようだったが、なかなか大きな返事だ。


「2人には日直をやってもらう。まずはみんなで協力して、死体を廊下に出してくれ。それからすぐに席につくこと」


きびきびと指示を出す自分に酔いしれる。


教師っぽいと。