予感が的中する。


「北原麻美」


まさに北原は、泣いている女子の1人だった。


「北原!返事をしろ!」


俺が強く言えば言うほど、泣き声は大きくなっていく。


逆効果だ。


でも時間がない。


名前を呼ばれて、いつまでに返事をすれば助かるのか分からないが__これまでを見ていると、さほど長い時間はもたない。すぐに息苦しくなるだろう。


ここは無理やりにでも返事をさせないと__。


「麻美、返事をして!」


俺の代わりに声を上げたのは、洋子だった。


返事をしたから死の淵から蘇ったことを、自分自身が一番よく分かっているのだろう。


同じ女子の声に、北原の泣き声がやんだ。


ましてや2人は仲が良い。


「返事をすれば助かるから!」


そばに駆け寄って、震える友人の肩を抱く。


やっと、言葉が耳に届くんだ。


今ならまだ間に合う。


今、返事をすれば、一命を取り留めることができる。


今なら__?


「はいって言うだけでいいから。早くしないと」


返事を急かす洋子の顔を、初めて見るかのように見る北原。


「はい」それだけでいいのに、まだ理解ができないようで、困惑を__。


「早く返事を!」


「嫌‼︎」


北原が、救いの手を振り払った。