やばい。


洋子の瞳孔が開ききっている。


このままじゃ。


このままじゃ、洋子も__?


覆い被さっている、片平剣を押し退けて立ち上がる。


全員が、苦しみ出した洋子を助けるでもなく立ち尽くしていた。


片平剣は死んだ。


その向こうには、遠藤重人。


そのまた向こうには、猪俣直樹が青ざめている。


振り返った先には、江東奈美が震えていた。


出席簿順に突然死をした、クラスメイト。


助かった2人と、死んだ2人の違いはなんだ?


「洋子‼︎」


膝から崩れ落ちた洋子を、抱き締めて支える。その体はすでに、硬直し始めていた。


息を飲んで遠ざかる生徒たちの隙間から、死んだような目をした今井が見える。俺たちの担任は、生徒を助ける気など毛頭ない。


それどころか__?


今井の上唇が、わずかに吊り上がった。


笑ってる?


あいつは、あいつは俺たちを殺そうとしている。


どうやって?


ただ、名前を呼んだだけじゃないか?


出席簿の順に、名前を__呼んだ、だけ?


「洋子、返事だ」


唇が乾ききっている洋子の口から、舌がだらしなく垂れ下がる。


「返事だ!返事をしろ‼︎」


激しく体を揺さぶるが、意識が遠のいているようで俺の声も、届かない?


そんな__。