このクラスは、いくつかのグループに分かれていた。
浩志ジャクソンが中心の、不良グループ。いつもターゲットを決めて、派手にいじめを繰り返している。
篠塚有里華が率いるギャルグループは、見た目がケバくて同じ中学生とは思えない。授業中でもぎゃあぎゃあと騒いでいてうるさい。
あとはサッカー部の俺も含めた、部活グループだ。
「楠木、どうなってんだ?」
やや喧嘩腰で詰め寄ってきたのは、小金沢篤(こがねざわあつし)。
学校1の不良ではあるが、いじめグループに加わることはない、孤高の狼のような男。どこか漢気があり、俺は一目置いている。
「わからない。誰かが俺たち全員にメールを送ってきたのは確かだ。俺たち全員のアドレスを知っている人間」
「それって、あいつじゃねーのか?」
篤のいう【あいつ】とは__?
俺は教室の中を見回した。
普段となんら変わりないクラスメイトたち。
この中に、3人を死に陥れたものはいない。あのメールを送りつけてきたのは、生徒じゃない。
俺たちの頭の中に浮かぶのはきっと、同一人物。
その時、始業のチャイムが鳴った。
同時に、教室の扉が開いた。



