日曜日の学校は、時間が止まったように静まり返っていた。


校庭を突っ切ると、すでに登校しているクラスメイトが3階の窓から手を振っている。


「楠木くん、片平さん、おはよう」


後ろから小走りに追いかけてきたのは、森本亜希子(もりもとあきこ)だ。


学級委員をつとめる森本は、真面目を絵に描いたような風貌だが、残念なことに誰も言うことはきかない。


それほど、3年1組は荒れていた。


「やっぱり、森本さんのところにも?」


俺の思ったことを、代わりに洋子が尋ねていた。


「たぶん、誰かの悪ふざけだと思う。無視しようとも思ったけど、亡くなった人をそんな冗談に使うなんて許せないから、登校することにしたの」


毅然と答える学級委員に、俺たちは顔を見合わせる。


おそらく誰もが、もしかしたらメールの内容は本物?と思っている。


しかも来なければ、あの3人と同じ運命を辿るとなれば、這ってでも登校するだろう。


でも森本亜希子は違う。


正義感で勇ましくやってきたんだ。


そんな真っ直ぐな気持ちも、あのクラス相手じゃ空回りするだけなんだがな。


案の定、教室に入ると何人かの男子がバスケットボールをしていた。


人間をゴールに見立てて行う、バスケットという名の【いじめ】だ。