「ぐ、くるじぃ」


手足をバタつかせるうちに、知念さんの握っていたナイフが飛んでいった。


拳で先生を叩くも、その力は段々と弱まっていく。


「僕を、この僕を裏切っていたなんて」


「先生、やめて!」


「止まるのか?こいつが死ねば片平、お前が助かるんだぞ?」


「えっ__?」


「1人だけ生き残る約束だ。今、この裏切り者が死ねば、ここから出て行くことができるんだ」


私の目を見ながらも、血管を浮き立たせるほどの力で知念さんの首を絞めている。


抵抗しようと投げた拳が、虚しく空を切った。


「そうだ、それでいい。下手な偽善はいらない」


そう言うと、手元の生徒を見つめる。


その目はどこか、愛おしげにも見えたが__。


「知念瑠璃」


囁くように、名前を呼んだ。


「は、は__」


返事をしようと口を開ける知念さんの喉元に、先生の指先が食い込んでいく。


深く深く、のめり込んでいく。


返事とはかけ離れた、うめき声が漏れる。


だらり。


その手が垂れ下がり、体がから力が抜け、口元から舌が飛び出していた。


知念さんが死んだ。


私だけが生き残った。


クラスでたったひとり、私だけが__?